表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 / 若林正恭

2024年12月13日金曜日

ノンフィクション

t f B! P L

お笑い芸人オードリーの若林さんが、キューバ、モンゴル、アイスランドを一人で旅する紀行文です。

「やりがいのある仕事をして、手に入れたお金で人生を楽しみましょう!」というフレーズが、仕事もお金もないときは、
「仕事で成功しないと、お金がなくて人生が楽しめません!」という声に脳内で変換されて、何度もリフレインしていたと、若林氏は語ります。
その価値観が新自由主義(政府の積極的な民間介入に反対するとともに自由放任主義をも排し、資本主義下の自由競争秩序を重んじる考え方)に由来すると知り、それとは逆の社会システムからなる社会主義の国・キューバを目指します。
そして、社会主義のキューバでも、豪華な家に住む人とボロい家に住む人がいることを知り、もともと人間は競争したがる生き物なのかもしれない、と悟るシーンは印象的です。
しかしそれでも、キューバ人の「競争相手ではない人間同士が話しているときの表情」「血が通った関係」が見られるマレコン通りの人波を、彼はかなり気に入ったようです。私も行ってみたくなりました。
そのほか、定住しない家族を見にモンゴルへ大自然を見にアイスランドへ、若林さんの果敢な一人旅が軽妙に語られます。

団体旅行に一人で参加するときの心細さは私も経験したことあるのでわかりますが、あんなにおしゃべりが面白くて人気のある芸人さんが、激しい人見知りで、団体ツアーのディナーの席から仮病を使って逃亡するシーンなど、弱くてかっこ悪い人間であることがこれでもかと伝わってきます。
そして、そのように自分の弱さやかっこ悪さを笑いに変えられるところこそが、若林さんの魅力なのではないかと強く感じます。
ついでですが、巻末のCreepy Nuts・DJ松永氏の熱い解説にもビックリします。

オードリー・若林さんの顔は知っているけど大して興味はないという方に、おススメします。

第3回斎藤茂太賞受賞! 選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文。

飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。
クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の国の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。
特別書下ろし3編「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」収録。解説・Creepy Nuts DJ松永
いざキューバへ!

ぼくは今から5日間だけ、
灰色の街と無関係になる。

ロングセラー傑作紀行文
書下ろし新章
モンゴル/アイスランド/コロナ後の東京

俺は誓いました。
あなたのように
生々しく生きていこうと。
(Creepy Nuts DJ松永「解説」より)
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
医療・医薬に関する一般向けの本、母のための老人施設・介護の本、私が興味を持つ科学、音楽、歴史に関する本、時事解説本、小説など、年間100冊程度読んでいます。
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