東京の謎(ミステリー)  / 門井慶喜

2024年11月23日土曜日

ノンフィクション

t f B! P L

直木賞作家の門井慶喜氏が、東京にまつわる23の謎を紹介し、解き明かしてくれる本です。

おぼろげに聞いたことはあったかなぁというレベルの、東京の歴史や名所のウンチクが軽妙に語られていて、頭の整理をしつつサクサク読めます。
私の印象に残った謎(ミステリー)の一部をご紹介します。


『なぜ三菱・岩崎彌太郎は巣鴨を買ったのか』

  • 明治維新の時に34歳だった岩崎弥太郎は、土佐藩営の小さな商社(大阪商会)の責任者だったが、廃藩置県を機にこの大阪商会が弥太郎個人のものになったところから、三菱財閥の歴史が始まる。
  • 維新後の地租改正により、大名屋敷に地租(不動産税)が課せられたことから、多くの大名が郊外の下屋敷の地を売りに出した。それを引き取り、大地主になったのが岩崎弥太郎であった。
  • 引き取った多くの土地の中でも巣鴨の六義園は、5代将軍・徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保が作った庭園であり、柳沢吉保は古今和歌集にある6種の和歌の表現形式にちなんで「六義園」と命名し、庭園には古今集ほか和歌にまつわる88の景色を再現した、和歌のテーマパークとでも呼ぶべき名園なのだとか。これを自分一人の風流の場にしようという意図で弥太郎は購入したのだろうと、著者は推測している。
  • その後も岩崎彌太郎は、郊外から丸の内まで広大な土地を手中に収め、今の三菱地所の原型を築くことになった。

『なぜ五島慶太は別荘地・渋谷に目をつけたのか』

  • 渋谷はもともと起伏に富んだ地形であったため、甲州街道沿いで人口が増えた新宿とは対照的に、大きな街道は無く閑静で、江戸城の近くに住まう大名達の別荘地としての下屋敷となっていた。
  • 長野県の山に囲まれた人口300人の小さな村に生まれた五島慶太は、三重県の英語教師→東京帝国大学法科大学→農商務省→鉄道院→鉄道会社(目黒蒲田電鉄と武蔵電気鉄道の2社)に天下りした。
  • 目黒蒲田電鉄が目黒ー蒲田間を開業したとたんに関東大震災が起こり、都心の被災者がこぞって目黒ー蒲田の沿線に移住したため目黒蒲田電鉄は大儲けする。五島慶太はその収益を投じて、武蔵電気鉄道が営業許可を得ていた渋谷ー横浜間を、東京横浜電鉄の社名で開業する。
  • さらに渋谷から新橋まで地下鉄を敷き、東京都心に進出したことで、渋谷の発展と東急グループの基礎を築いた。
東京の街のトリビアを仕入れたい方におススメします。

『家康、江戸を建てる』『東京、はじまる』など、江戸・東京に深い造詣をみせる筆者が、東京の21の地域について過去と現在とを結び、東京の「謎」を解き明かす。
回ごとに東京と町を築き上げてきた巨人たちとの交差が描き出されます。

はじめに なぜ東京を「とうきょう」と読んではいけないのか
第一章 ――東京以前--
第一回 なぜ源頼朝は橋のない隅田川を渡ったのか
第二回 なぜ大久保長安は青梅の山を掘ったのか
第三回 なぜ麹町は地図の聖地になったのか
第四回 なぜ浅草は東京の奈良なのか (新書のための書き下ろし)
第五回 なぜ勝海舟はあっさり江戸城を明け渡したのか

第二章 ――東京誕生(明治以後)--
第六回 なぜ銀座は一時ベッドタウンになったか
第七回 なぜ三菱・岩崎彌太郎は巣鴨を買ったのか
第八回 なぜ早矢仕有的は丸善を日本橋にひらいたのか
第九回 なぜヱビスビールは目黒だったのか
第十回 なぜ「東京駅」は大正時代まで反対されたか
第十一回 なぜ野間清治は講談社を音羽に移したのか

第三章 ――関東大震災--
第十二回 なぜ後藤新平は震災復興に失敗したのか
第十三回 なぜ日比谷は一等地の便利屋なのか
第十四回 なぜ新宿に紀伊國屋書店があるのか
第十五回 なぜ五島慶太は別荘地・渋谷に目をつけたのか
第十六回 なぜ堤康次郎は西武池袋線を買ったのか
第十七回 なぜ羽田には空港があるのか

第四章 ――戦後--
第十八回◎なぜトットちゃんには自由が丘がぴったりだったか
第十九回◎なぜ寅さんは葛飾柴又に帰って来たのか
第二十回◎なぜピカチュウは町田で生まれたのか
第二十一回◎なぜ代々木の新国立競技場は案外おとなしいのか

むすび なぜ江戸は首都になったのか
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
医療・医薬に関する一般向けの本、母のための老人施設・介護の本、私が興味を持つ科学、音楽、歴史に関する本、時事解説本、小説など、年間100冊程度読んでいます。
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