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2018年に芥川賞を同時受賞した『おらおらでひとりいぐも』の若竹千佐子さんと『百年泥』の石井遊佳さんは、ともに同じ講師の小説講座を受講していたそうです。その講師・根本昌夫氏が小説の書き方を講義してくださる本です。
根本氏は、早稲田大学卒業後、文芸誌『作品』や『海燕』(ベネッセコーポレーション)編集長、『野性時代』(角川書店)編集長などを歴任した編集のプロであり、新人作家の発掘と育成には定評があります。サブタイトル「伝える、揺さぶる基本メソッド」の通り、その根本氏が、これから小説を書こうとする一般の方に向けて、小説の書き方と小説を書くことの魅力を解説します。
私の印象に残った根本氏の解説と見解の一部をご紹介します。
【いい小説とは】
- 小説とは物語と哲学が融合したもの。どちらが欠けてもいけない。純文学もエンターテイメント小説も、両方から成り立っている。
- 「いい小説」とは、再読に値する構造や仕掛けを持った作品。読む人によって、また読む時期によって違った読み方ができる、「いろいろな顔を持った作品」、言い換えると、複数のテーマが折り重なってできている「重層的な作品」がいい作品だと思う。
- 報告書では5W1Hが必須だが、小説はいかに言葉を端折って同等以上の効果をもたらすかという観点が大切。省いた説明は読者に想像して埋めてもらう。そうすれば、読者の想像力を焚きつけるという効果もついてくる。
【小説家について】
- 第一線で活躍している小説家は、私が見た限り常識をわきまえたごく普通の人たち。ただ、一つだけ普通の人と違うのは、「洗濯機の渦を見つめて宇宙を感じる」ような並外れた感受性を持っていること。
- 私の教室の生徒で一番多いのは40代の女性達で、いい小説を書くのもだいたい彼女たち。ある程度の人生経験、社会経験を積んでいることが、小説作りに生きているのは間違いない。
【求められる表現と技法】
- あなたが書きたいこと(原物)を言葉で完全に表現することはできない。あなたが操る言葉と、あなたの内面的真実の距離を、文脈の中でどうにかこうにか近づけていく。それをやりおおせたときに初めて納得できる作品が生まれる。
- 小説とはもちろん作為的なもの。作家の仕事はその作為が自然にみえるように書くこと。するとそこにリアリティが生まれる。作為を自然に見せることこそ、小説に求められる技であり、言葉の技である。
- 書き出しの一行は一番大事。「待ち伏せは四日目に入った。」で始まる、島田雅彦氏の小説がある。読者はこの一行を読むと、既に三日も進行しているらしいドラマの異空間に放り込まれ、「何を待ち伏せているんだろう?」と続きを読まずにはいられなくなる。
【小説の読み方】
- 作家を目指すみなさんにとって必要な読み方は、その小説を書いた作家の立場に立って読むこと。なぜこの一行を書いたのだろう、と作者の立場を想像しながら読むことで、作品と対話ができるようになる。
【小説を書く楽しさと醍醐味】
- 小説を書く楽しさと醍醐味は以下の3点にまとめられる。
②小説を書いてみることで、過去のある一点から、自分の人生を生き直すことができる。
③小説を書くことで、新しい世界が開け、自分が世界そのものなんだ、世界と一体なんだという感覚に目覚めていく。
自分で小説を書いてみたいと思っている方に、おススメします。
教え子二人が、芥川賞を同時受賞!
自身が教える講座から次々と作家をデビューさせる、元・文芸誌編集長による紙上小説教室。
自身が教える講座から次々と作家をデビューさせる、元・文芸誌編集長による紙上小説教室。
(amazonより抜粋して引用)

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