なぜガザは戦場になるのか -イスラエルとパレスチナ 攻防の裏側- / 高橋和夫

2024年5月26日日曜日

ノンフィクション

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中東研究の第一人者といわれる著者が、2023年10月のハマスによるイスラエルへの越境攻撃に至るまでのパレスチナ問題の歴史と関係諸国の動きを解説してくれます。


著者は、パレスチナ問題は「2000年来の宗教対立」などではなく、ヨーロッパでキリスト教徒に迫害されたユダヤ人が自分たちの国を創るためにパレスチナへ移住を始めた19世紀末以降の約130年ほどの問題だと指摘します。


私が理解した著者の説明と主張の一部を以下にご紹介します。
  • ガザ地区(ガザ)とヨルダン川西岸地区(西岸)はパレスチナ自治区と呼ばれているが、ガザは人や物の移動が厳しく制限され、西岸は大部分をイスラエル軍に管理されていてパレスチナの自治が認められているのはその中に点在するごく一部のエリアに過ぎない。
  • イスラエルはこれまで、アラファト率いるパレスチナ解放機構(PLO)が強くなり過ぎないように、その対抗勢力であるハマスを育ててきた。パレスチナ側の交渉主体が一本化されなければ、イスラエルはそれを口実として「和平交渉したくてもできない」と言えるからである。
  • 西岸においてイスラエルがパレスチナ人から土地を奪って作った入植地は300か所に迫り、入植者は50万人以上である。過激な入植者は現在も、パレスチナ人の家に放火し、パレスチナ人を殺害している。
  • 西岸では水資源もイスラエルが支配している。
  • イスラエル国内では、なぜハマスがイスラエルを攻撃し続けるのかという議論は深まっていない。ガザで何が起きているか、興味も無しい考えたくもないというイスラエル人も多い。
  • 人口1億2000万人の日本の自衛隊は陸海空合わせて24万人。イスラエルは人口1000万人だが正規軍約17万人に予備役30万人を加えて約50万人の兵力を動員している。産業への影響を考えると長期戦は避けたいところだろう。
  • イスラエル、西岸、ガザを合わせた全人口は1550万人。その内、ユダヤ人は750万人、パレスチナ人は760万人、その他が50万人。パレスチナ人の出生率の高さを考慮すると、今後更にパレスチナ人の比率は増えると予想されていることから、そもそもイスラエルが目指しているような「パレスチナ全域をユダヤ人国家とし同時に民主主義国家とする」ことは不可能である。
  • アメリカの世論調査では、年齢が若い人ほどパレスチナに同情的であり、2023年のハマスによる越境攻撃の10日後のアンケートでは、全体の66%が即時停戦を求めている。
  • スイングステートであるミシガンでは、中東にルーツを持つ人が26万人おり、2016年の大統領選では当落の差はわずか1万票であった。「イスラエルを支持してさえいれば安全」という時代は終わりつつあることをバイデン大統領は認識した方がよい
  • アメリカがイスラエル支持の態度を変えたとき、日本は梯子を外された形にならないように、アメリカ追随ではなく日本独自の判断で外交をするべきである。
  • 日本はこれまで中東への直接的関与が少ない分、中立的立場で仲介役として貢献する可能性も十分にあるのではないか。
パレスチナ問題に関する日本の主流派の意見を簡潔にまとめて理解したい方におススメします。

激化するイスラエルのガザ地区への攻撃。
発端となったハマスからの攻撃は、なぜ10月7日だったのか――
長年中東研究を行ってきた著者が、これまでの歴史と最新情報から、こうした事態に陥った原因を解説します。
・そもそもハマスとは何者なのか
・主要メディアではほぼ紹介されないパレスチナの「本当の地図」
・ハマスを育ててきた国はイランなのか、イスラエルなのか
・イスラエル建国の歴史
・反イスラエルでも一枚岩にならないイスラム教国家
・アメリカが解決のカギを握り続けている理由
・ガザの状況を中国、ロシアはどう見ているのか
・本当は日本だからこそできること
など、日本人にはなかなか理解しづらい中東情勢について 正しい知識を得るためには必読の一冊です。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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