科学で迫る勝敗の法則 スポーツデータ分析の最前線 (知りたいサイエンス) / 小中英嗣

2024年3月2日土曜日

ノンフィクション

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大学で情報工学を教える著者が、スポーツのデータ分析について解説してくれる本です。

野球の本格的なデータ分析は、ビル・ジェームズという一人の野球ファンがMBLのデータと統計を”Baseball Abstract”という冊子にまとめて1977年以降に自費出版したのが始まりなのだそうです。
ジェームズはその冊子の中で、当時の常識とされていた評価指標や作戦について実績データに基づいて疑問を投げかけ、巻を重ねるごとに売上部数が伸びていったのだとか。
そして日本では、「野球のOR(Operations Research)」という1979年の論文がその分野ではよく知られているそうです。ちなみにその論文の著者はなんと元総理大臣の鳩山由紀夫氏なのだとか!ビックリです。

野球の勝率は、「ピタゴラス勝率」という以下の式で予測できるそうです。
勝率 = (得点)^2 / ((得点)^2ー(失点)^2)

ピタゴラスとは全く関係ない数式に「ピタゴラス勝率」という名前を付けられていることに著者は不満のようですが、この「ピタゴラス勝率」が実際の勝率にかなり近いことが、日本のプロ野球チームの過去10年の実績から示されています。

ピッチャーの投球では、ボールが1回転するときバッターから見たボールの中心を縫い目が4回通るのが直球ですが、ボール1回転につき縫い目が2回通るようボールを握る向きを変えると、ボールの浮力が小さくなり下方向に落ちるので、ボールは打者のバットの下部に当たってゴロになりやすい。このようにゴロを打たせて取るための球種が「ツーシーム」なのだそう。

一方の打者は、(従来の地面と水平に振る「レベルスイング」ではなく)ボールの打ち出し角度を地面に対して25度から30度にし、射出速度が158km/hを超えると、ホームランになる確率が高くなることが科学的に示され、各チームがこの打ち方を練習した結果、2016年頃から1打席当たりのホームラン数が急激に増加「フライボール革命」と呼ばれているそうです。


またサッカーでは、シュートデータの解析により、戦術が変化していることが紹介されています。
シュートを打つ位置によってゴールの成功率(ゴール期待値)が異なることがデータで詳細に示され、結果としてワールドカップの全シュート数に対するミドルシュートの割合は近年減少している一方、それまで45~50%くらいだったペナルティエリア内からのシュート割合は2014年以降急激に増加し、2022年には60%以上になったのだとか。

データを収集するセンサーやカメラ等も進化していますが、2022年ワールドカップの「三苫の1ミリ」の映像は、ピッチ上空50mに掛けられた幅1.5mの通路から撮影したもので、そこにカメラマンを配置できるのは特別な大会に限られるとのこと。
しかし私はむしろ、無人の自動撮影でなかったことに驚きました。

ご自身のやっているスポーツにデータサイエンスを取り入れたい方や、データ分析をしてスポーツ観戦をより深く楽しみたい方におススメします。


「データを見て楽しむ」、こんなスポーツの楽しみ方はいかがでしょう!
近年、親密さを深めつつあるスポーツとデータ。
本書は野球、サッカー、バスケ、ラグビー、バレーなどの具体的な事例を挙げ、その背後にある勝敗の法則に、科学でじっくりと迫ります。
スポーツにおけるデータ分析の詳しい方法から、データを取るための最新技術までをやさしく解説し、最後の章では実際に予測モデルを運用した結果も掲載しています。
この本であなたもぜひ、データ分析という新しい趣味の扉を開いてみてください。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
医療・医薬に関する一般向けの本、母のための老人施設・介護の本、私が興味を持つ科学、音楽、歴史に関する本、時事解説本、小説など、年間100冊程度読んでいます。
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