それでも、日本人は「戦争」を選んだ / 加藤陽子

2024年2月10日土曜日

ノンフィクション

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日本近現代史を専門とする歴史学者である著者が、高校生向けに講義した内容を1冊にまとめた本です。

「なぜ日本は圧倒的な戦力差がある米国を相手に戦争を始めたのか」
日本は太平洋戦争の最終目標をどこに設定していたのか」など、
高校生の疑問に対し、歴史学者が日清戦争以降の世界の動きを段階的かつ多面的に説明していて、
一種の謎解きのような感覚を受けます。

日本人が戦争を選んだ経緯と理由について、私の印象に残った著者の解説の一部を以下にご紹介します。
  • 不平等条約を改正するには、日本がアジアの中で特別な文明と軍事力を持っていることを欧米列強に実証する必要がある、という外相・陸奥宗光らの主張に引っ張られ、東学党の乱の鎮圧を口実に日本は清と戦争を始める。
  • 日清戦争に勝利するも、三国干渉を受け入れた政府に対し、もっと民意を反映させるべきとの声が高まり、普通選挙運動が盛んになる。
  • 日露戦争、第一次世界大戦を経て、日中戦争がはじまり、「渇しても盗泉の水を飲まず」と教えられたではないか、と嘆く声もある中、真珠湾攻撃により、弱い中国だけでなく強い米英にも戦争をしかけたことは、国民を爽やかな気持ちにさせた、という当時の国民意識があった。
  • 軍隊が物理的な圧力で政治に介入することは立憲制の社会では不当な事だが、その軍隊が、多くの国民が望んでいるが政治で実現できない政策(例えば農民への経済的支援)を実現しようとしたとき、軍隊は疑似的な改革推進者となって国民の支持を得てしまった。それが太平洋戦争前の状況である。

著者は高校生の受講生に対し、重要な政策を決定する際に歴史の誤用をせず正しく歴史の教訓を活かすためには、広い範囲の過去の出来事を真実に近い解釈でより多く頭に入れておかなければならない、と説きます。

著者の加藤陽子氏は、日本学術会議の会員に推薦されながら、菅義偉首相によって任命を拒否された東京大学教授です。
なぜ政府が任命を拒否したかは分かりませんが、このような歴史学者の知見は、将来の政策を決めていくうえでとても有益なものだと思います。

日本が過去に戦争を選んできた背景や経緯について関心のある方におススメします。

膨大な犠牲と反省を残しながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。
指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思い、なお参戦やむなしの判断を下した。
その論理を支えたものは何だったのか。
鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本近現代史。 小林秀雄賞受賞。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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