ありえない138億年史  / ウォルター・アルバレス

2023年8月11日金曜日

ノンフィクション

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宇宙の誕生から現在の人類の繁栄までの138億年に亘る歴史「ビッグヒストリー」を宇宙、地球、生命、人間という4つの視点から見た歴史書とでもいうべき壮大な著書です。

著者のウォルター・アルバレスは、ノーベル物理学賞を受賞した父・ルイス・ウォルター・アルヴァレズとともに、白亜紀と第三紀の境界におけるイリジウムの過剰濃集を発見し、隕石の衝突による大量絶滅のシナリオを発表した地質学者です。
その著者が、地球の誕生以来46億年の間に起きた連続と偶然が織りなす驚きに満ちた歴史を綴り、無数にあった偶然の出来事が一つでも違っていれば、現在の人間世界とは全く違ったものになっていた可能性があると語ります。

私がおススメする本書の”目から鱗”的な視点と著者の秀逸な主張は次の点です。

【宇宙】
  • 質量の大きい恒星は水素を使い切ると超新星と呼ばれる壮大な爆発を起こす。その時、複数の水素原子核が押し固められ、鉄より重い全ての元素が生成され、爆発により宇宙にばらまかれる。
  • 太陽系は主に水素とヘリウムでできているが、地球は主に岩を形成する元素(酸素、マグネシウム、ケイ素、鉄)からできている。その違いは、なぜ生じたのか?
【地球】
  • アフリカ大陸の西側のへこみが南米大陸のブラジルの海岸線と一致することから、1570年に地図を作製したオルテリウスは、「両大陸は水平移動により切り離された」という説を発表した。
【生命】
  • 生命の痕跡は、5億4千万年前から後にようやく、殻や骨の化石として目に見える形で残っている。これは三葉虫が目を進化させたことと、どのように関係しているのか?
  • 6600万年前、地球上の動植物の属のおよそ半分が滅びた。地質学者はこの大量絶滅を、中生代白亜紀と新生代古第三紀の境目としている。
  • メキシコのユカタン半島でチクシュルーブ・クレーターが発見され、6600万年前、そこに隕石が衝突したことにより、恐竜など大量の種が絶滅したという説が今では定説となっている。
  • この隕石の衝突による大量絶滅は、人間世界の形成に決定的な役割を担った。隕石の衝突がなければ、おそらく恐竜はいまだに地球最大の生物として君臨し、哺乳類は小型のままだっただろう。
  • 北アメリカの白亜紀の哺乳類は約20種、平均体重はわずか50gだが、恐竜の絶滅直後には約50種、平均体重は500gまで急増している。
【人間】
  • 現在の人間世界の繁栄は、隕石衝突により生命の歴史の主要ルートが「偶然」変更されたことに由来しており、隕石衝突がなければ全く違う世界になっていただろう
  • その隕石衝突は、ある時点の天体全ての動きが詳細にわかったとしても、その始まりの条件を十分には知ることができないため、「決定論的カオス」により予測不能である。
  • そういう意味で、現在の人間世界は「偶然」の産物(!)である。

◎「46億年もの連続と偶然。ぼくはまた地球について語りたくなりました。」
――京都大学教授 鎌田浩毅氏推薦!
◎われわれ人間は、なぜここにいるのか? それは人類の歴史だけを見てもわからない。
宇宙誕生から現在までの通史――「ビッグヒストリー」の考え方が必要だ。
自然科学と人文・社会科学を横断する驚きに満ちた歴史を、 恐竜絶滅の謎(隕石衝突)を解明した地球科学者が明らかにする。
【本文引用】
歴史は必然ではない。偶然が重大な役割を担っている。
宇宙、地球、生命、人間の各領域において、 この世界が実際にたどった道とは異なる道をたどる可能性は無数にあった。
その結果、今日のものとは異なる人間世界が生まれる可能性もあれば、 人間世界がまったく生まれない可能性もあったのだ。
そのため、今あるこの世界を理解するには、物理学や化学を超えて、 地質学や古生物学、生物学、考古学、天文学、宇宙学などの歴史科学の領域から人間の歴史へと目を向けるべきだろう。
これらの歴史科学や歴史学が、今あるこの世界の歴史について学びつつあることを知る必要があるのだ。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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