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本作品は、未曽有の原発事故への対応を現場で指揮した吉田昌郎所長と、停電で暗闇となった発電所内で奮闘する所員達の死闘を描いたノンフィクションです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災本震の約50分後に押し寄せた津波により、東京電力の福島第一原子力発電所は非常用ディーゼルが水没し、全電源を喪失します。
ポンプを稼働できなくなり、原子炉内部への注水が不可能となったことで、核燃料の冷却が不能に。その結果、原子炉内が空焚きとなり、核燃料が自らの熱で溶け出します。
ついに、核燃料ペレットが原子炉圧力容器の底に落ちる炉心溶融(メルトダウン)が発生。
しかし、メルトダウンは後で判明したことであって、この時は様々な断片的情報や憶測が流れ、報道される情報も錯そうしていました。
最も恐れていたのは、原子炉の圧力が上昇して爆発する危険が迫っているということでした。
半径20㎞圏内の住民に避難指示が出されましたが、原子炉が爆発すれば被害はもっと広範囲に及ぶでしょう。
福島を中心に日本の1/3が廃墟になる、そんな恐ろしい懸念が、この時多くの人の頭をよぎったのではないでしょうか。
やがて、原発所員の決死の行動により弁の開放に成功し、原子炉の破損は免れます。しかしそれにより、やむを得ない事とはいえ、放射性物質が大気中に拡散します。そしてその後、原子炉建屋の水素爆発・火災が発生…。ここでも、これは爆発なのか、爆発だとすれば原因は何か、報道は混乱していたのを記憶しています。
今も生まれ育った地域に戻れない人が大勢いて、廃炉には40年かかると見積もられています。
メルトダウンした燃料を冷却するために大量の汚染水が発生し続けており、汚染水を入れるタンクの増設も限界に達したため、2023年には放射性物質を基準値未満に浄化処理したうえで太平洋に放出しようとしています。
日本に大きな傷跡を残し、これからも国民に多くの負担を強いる原発事故を、しっかり記憶に留め、決して繰り返さないように対策を進めなくてはなりません。
この本は、そのための第一歩になると思います。
本作は2020年に『Fukushima 50』というタイトルで、佐藤浩市と渡辺謙の主演により映画化されました。しかし、事実を歪曲している等の理由により、その評価は非常に厳しいものだったようです。
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