物語ユダヤ人の歴史 / レイモンド・シェインドリン

2023年7月28日金曜日

ノンフィクション

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紀元前1000年頃、ダビデがエルサレムを拠点とする古代イスラエル王国を築いて以降、現在のイスラエルに至るまでのユダヤ人の歴史が詳細に記された著書です。

「ユダヤ人」と聞いて私がすぐに思い浮かべるのは、ヒトラーによるアウシュビッツでの大量虐殺ですが、その2000年以上前から欧州各地で絶え間ない迫害や追放の憂き目にあっていたことがこの本には詳細に記されています。
ユダヤ人使徒がキリストを裏切り殺したというキリスト教司祭の説話により、ユダヤ人が憎悪の対象となったことが要因として挙げられていますが、やはりそれがユダヤ人にとって不幸の根源なのでしょう。

土地の所有や公職に就くことを許されず、貸金業だけが許されたユダヤ人はそれを逆手にとり16世紀には資本を蓄え、金融と投資のプロとなります
度重なる追放と強制移住は、ユダヤ人を西欧社会のあちこちに離散させ、結果としてユダヤ人は各地をつなぐ国際的なネットワークを形成します。
これが現在の国際金融システムの基盤となったのでしょう。

その後も迫害は続き、第二次世界大戦ではヒトラーによりドイツはユダヤ人の墓場と化します
ドイツは連合国には敗北したがユダヤ人に対する戦いでは完全に勝利を収めた、と著者は皮肉を込めて言います。

そして第二次世界大戦後、欧州の難民収容所に収容されていたユダヤ人の窮状を救うためには、パレスチナを解放し彼らに自由に移住させるしかないとの見方が世界的に大勢となります。
ついに1947年に国連は、パレスチナを分割しユダヤ人国家とパレスチナ国家を建設する案を可決し、翌1948年にイスラエルが建国されます。
古代イスラエル王国が消滅した後、2500年以上かかりましたが、ユダヤ人にとってまさに悲願の国家建設です。

現在のイスラエルはパレスチナとの紛争を抱えてはいるものの、経済的に繫栄し、科学技術や文学など知的生産分野で優秀な人材の供給源になり、世界的に注目を集めています

本書は、イスラエル、ユダヤ人、ユダヤ教に興味のある方にとっては、それらが俯瞰的に説明された教科書のような存在になると思います。おススメします。

ユダヤ人はどこから来たのか?
彼らはどうして故国を離れたのか?
かれらはどこに向かったのか?
何世紀にもわたる離散の間、どのようにしてアイデンティティを保持してきたのか?
どうして彼らは他国の人々から嫌われ、その歴史が追放と剥奪の連続となったのか?
近代化は彼らにどのような影響を与えたのか?
誇り高い民族的アイデンティティと繁栄する故国は現代のユダヤ人をどのように変えたのか?
本書はともすれば一方的な内容になりがちなテーマを普遍的、一般的に書いた通史である。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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