ぼくは13歳 職業、兵士。―あなたが戦争のある村で生まれたら / 鬼丸 昌也、小川 真吾

2023年7月12日水曜日

ノンフィクション

t f B! P L

子供兵の社会復帰や地雷撤去などの支援を行っているNPO法人「テラ・ルネッサンス」の理事長とウガンダ駐在代表の2名による、2005年発行のノンフィクションです。


この本が発行された2005年頃、アフリカのウガンダでは武装グループが村を襲撃して子供を誘拐し、子供兵として内戦に参加させる事件が頻発していたそうです。
ウガンダを植民地として支配してきたイギリスは、ウガンダの人々を団結させないために、南部住人を優遇し北部住人を虐げる「分断統治」を行いました。
ウガンダは1962年にイギリスから独立しましたが、分断統治の影響から、恵まれた南部住民(政府軍)と貧しい北部住民(反政府軍)が対立し、数十年に亘って内戦が続きました。
政府軍と反政府軍それぞれを支援する外国勢力があり、両軍に武器を売って儲ける外国企業が関与していることが、問題の解決を困難にしています。
人間とはなんと愚かな生き物なのかと、思わずにはいられません。しかし、希望を持ち続けることの大切さも、この本の中で教えてくれます。

武器の中でも自動小銃等の小型武器は、子供でも容易に操作できるうえに殺傷能力が高いことから、その普及に伴い子供兵が戦闘の最前線に立たされるようになります。
小型武器は、この本が発行された2005年当時の世界で6億3900万丁あるそうです。
そして、紛争の犠牲者の約9割(年間約50万人)は小型武器によって殺されているとも。

少年は暴力により従順に命令に従うよう訓練され、少女は性的暴行を受けたり大人の兵士と強制的に結婚させられるケースも多いのだとか。
ウガンダの反政府軍に拉致された子供は2万人以上と言われ、うち5千人以上は行方不明。
脱走して施設に収容された元子供兵は、目が死んでいて表情が無いと、取材した著者は言います。
そして著者は、子供兵の禁止と社会復帰、そして小型武器の輸出規制強化を強く訴えます

この本が発行された後の2006年に、ウガンダの内戦は戦闘停止の合意がなされました。
しかし、2020年の赤十字国際委員会の資料によると、世界で子供兵の数はいまだ25万人もいて、その多くはアフリカで確認されているとのことです。
また、2019年8月29日の「国際事務局発表ニュース」によると、「世界には10億丁を超える銃が出回り、その大部分を市民が所有する。」とのこと。
単純に比較できないかもしれませんが、この本に記載された「世界で6億3900万丁(2005年当時)」よりも、現在の方が銃の数が増えている可能性があります。

日本は、武器輸出三原則を見直し、2014年に防衛装備移転三原則を閣議決定しました。それによると、輸出を認める場合と禁止する場合を明確にし、目的外使用を制限する内容となっていますが、実際にはグレーゾーンが大きく、その時の政府の方針に左右されるものと思われます。
日本からウクライナへの支援は、これまでのところ防弾チョッキやヘルメット等の防衛装備ですが、その後の流出や移転等のリスクを考えると、殺傷能力を持つ武器は提供するべきではないと、この本を読んで強く思います。

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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