門 / 夏目漱石

2023年6月2日金曜日

小説

t f B! P L

「三四郎」、「それから」に続く、夏目漱石の前期三部作の最終章です。親友を裏切りその妻を奪って結婚した主人公の宗助が、妻と共に社会から逃れるように暮らす様子が描かれます。

登場人物は違いますが、「それから」のそれからのようなお話です。
不倫・略奪愛の直接的な描写が無いのは「それから」と共通しています。
明治文学にその種の刺激を求めてはいけません(笑)

山の中にいる心を抱いて、都会に住む境遇の二人。
宗助は鎌倉の禅寺を訪ねて座禅をしますが、自己とは何か、答えを見出すことはできず苦悩します。

「彼は後ろを顧みた。そしてとうていまた元の路へ引き返す勇気をもたなかった。彼は前を眺めた。前には堅固な扉がいつまでも展望を遮っていた。」
「要するに、彼は門の下に立ちすくんで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」

漱石は、何の象徴としてこの門を描いたのでしょう?
禅寺で悟りを得ること?
夫婦の幸せな未来? 
宗助の心の閉塞感?

夏目漱石は、あの時代に一体どんな恋愛や結婚生活を経験したのか。
妄想を楽しみながら、何度も読み直したくなる名作です。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

自己紹介

自分の写真
関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
医療・医薬に関する一般向けの本、母のための老人施設・介護の本、私が興味を持つ科学、音楽、歴史に関する本、時事解説本、小説など、年間100冊程度読んでいます。
私が実際に読んでぜひ皆様におすすめしたいと思った本やその関連情報をこのブログで発信していきます。

インドの野心 / 石原孝、伊藤弘毅

リンク 朝日新聞の記者としてニューデリー支局に勤務した経験を持つ著者2名が、文化、教育、経済、外交などさまざまな角度から「急成長する大国インドの実像」を描いた新書です。 世界最大の人口 を抱え、 若年層が多い という強みを持つ一方、 教育格差や雇用不足 、 宗教・...

フォロワー

QooQ