知財法務を知る / 小泉直樹

2026年4月4日土曜日

ノンフィクション

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著作権・特許・不正競争・意匠・商標・知財戦略・知財経営といった知財法務の主要領域を、第一線の専門家が1章読み切り形式で解説する実務ガイドです。

権利制限、著作権登録、AIと知財、特許ライセンス、共同研究契約、営業秘密、データ提供、不当表示、商標登録、水際措置、知財デューデリジェンスなど、現場で直面しやすい論点を体系的に網羅しています。

私が興味を持ったポイントの一部を以下にご紹介します。

【アサインバックとグラントバック】

  • 特許ライセンス契約を作成する際には、独占禁止法の適用に留意が必要である。特許権の行使には独禁法は適用されない(同法21条)が、同法の適用について「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」には多くの事例が挙げられている。独禁法に違反する契約条項が直ちに無効になるわけではないが、無効リスクは相対的に高い。実務で問題になり得る条項として次の2点がある。
  • 第1は、ライセンシーが開発した改良技術を、不相当な(安い)対価でライセンサーに対し、譲渡する義務(アサインバック)や、独占的ライセンスをする義務(グラントバック)を課す条項である。これらは原則として不公正な取引方法にあたり、独禁法に違反する。
  • 第2は、ライセンサーがライセンシーに対し、ライセンス技術に関する権利の有効性について争わない義務(不争義務)を課す条項である。不争義務を課す条項は、不公正な取引方法に該当する場合がある。他方、ライセンシーが権利の有効性を争った場合にライセンス契約を解除することは「原則として不公正な取引方法に該当しない」ため、解除条項を設けることが一般的である。

【特許法94条1項とチェンジオブコントロール条項】

  • 特許法94条1項は「通常実施権は、・・・実施の事業とともにする場合、・・・及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。」と定められている。
  • そのため、M&Aによりライセンシー企業が他社(ライセンサーが実施許諾を望まない企業であっても)と合併した場合は「一般承継」に該当するため、通常実施権は消滅会社から存続会社に移転されることになる。
  • その対抗策として、経営権の移転(M&A)があった場合にライセンス契約の即時解除を規定する「チェンジオブコントロール条項(資本拘束条項)」が実務では用いられる。
  • 特許法94条1項が任意規定と解釈されるのであれば、このチェンジオブコントロール条項により、合併後の存続会社は通常実施権を取得できなくなるが、特許法94条1項が強行規定と解釈されるのであれば、契約当事者間でチェンジオブコントロール条項に合意して契約していたとしてもその効力は認められず、合併後の存続会社は通常実施権を取得することができる
  • 学説上は、特許法94条1項を任意規定と解する見解と強行規定と解する見解が対立しており、裁判例はいまだ(2024年現在)存在しておらず、実務的には不安定な状況である。

知的財産の実務に携わる方に、おススメします。


知財法務担当者や若手弁護士・若手弁理士に向けて、著作権・特許・不正競争・意匠・商標・知財戦略・知財経営の各トピックを、第一線で活躍中の専門家が一章読み切りでわかりやすく解説。
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(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
医療・医薬に関する一般向けの本、母のための老人施設・介護の本、私が興味を持つ科学、音楽、歴史に関する本、時事解説本、小説など、年間100冊程度読んでいます。
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