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2013年4月から2024年3月までに日本銀行が実施した異次元の金融緩和について、その効果と副作用を検証し、中央銀行としての信認を今後も維持していくための課題を示します。
著者は、日本銀行で企画局参事役、ニューヨーク事務所長、金融機構局長、理事などを歴任し、金融政策や金融システム安定化などを担当した元日銀職員ですが、決して身内を擁護する論調ではなく、むしろ厳しく糾弾します。私が興味を持った著者の主張と解説を以下にご紹介します。
【効果の検証】
- 異次元緩和開始前後の実質GDP成長率は、開始前10年が0.63%、開始後10年が0.67%とほぼ横ばいだった。
- 異次元緩和によりマネタリーベース(発行銀行券+当座預金)は約6倍に増えたが、人々のインフレ心理は高まらず、物価上昇率はほとんど影響を受けなかった。
【副作用】
- イールド・カーブ・コントロールとは、市場に出回り得る国債のほとんどを金利0%で日銀が買い入れることを意味した。それが国債の市場機能を大きくゆがめた。
- 一定の仮定の下で概算すると、日銀が当座預金の付利金利を1.1%以上に引き上げるか、または、10年物国債の金利が2.05%を超えると、日銀は債務超過に陥る。
- 日銀は自らマネーを創造できるので、資金繰りの面から行き詰まることはないが、だからといって楽観視はできない。中央銀行に対する信認は、債務超過で資金繰りに支障を来すか否かではなく、債務超過に陥りかねない姿を市場がどう評価するかによって決まる。もし、日銀に対する市場の信認が低下すれば、円相場の急落や物価の急上昇となって現れてくる。
【日銀の誤算】
- 人々のインフレ期待を高めるべく、自信満々で異次元緩和を始めた日銀にしてみれば、国民の反応は期待外れだった。そもそも多くの国民は、日銀がどのような目標を掲げているか知らなかったし、現在もそうだ。10年半に及ぶ3か月おきの継続的アンケート調査における質問「日銀が消費者物価の前年比上昇率2%の目標を掲げていることをご存じですか?」の平均回答は、「知っている」が26% 、「見聞きしたことはあるがよく知らない」が34%、「見聞きしたことがない」が40%だった。
【財政支出による補助金の弊害】
- 日本の一般政府債務残高は今や257%(2022年実績見込み)と、先進国の中で断トツの高さにあるばかりか、拡大のスピードも群を抜く。社会保障費の増大だけでなく、何らかのショックが起きる都度、巨額の財政支出を行い収束後も元の規模には戻らない。このような財政支出(補助金等)により生産性の低い企業が存続し続ければ、産業全体として競争意欲が低下し、イノベーションも起きにくい。
- 例えば、品質向上の競争に敗れた企業にも補助金が供与され、存続が可能であるとすると、その企業は補助金を使って製品の価格を引き下げて売上を維持するだろう。そのような企業が多ければ、物価に低下圧力が働き、競争に勝った企業の高付加価値製品は割高感が強まる。
【今後の懸念】
- 今後、日銀が保有する国債を徐々に減らしていく過程で懸念が2つある。1つ目は、これから景気が悪化するたびに、政治から再び国債の買い入れを迫られること、2つ目は、市場が日本円の信認についていつなんどき疑問符を突きつけてこないとも限らない点である。
異次元緩和の11年間の総括と、今後の日本政府の債務圧縮、国債価格の変動、物価の動向、日本円の価値に興味のある方におススメします。
日銀発「危機」の本質が明快にわかる! と絶賛の声が続々と!
藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長)
「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない
高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長)
「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」
(本書の内容)
2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。
前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。
いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。
日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。
中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。
市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。
財政規律の後退も著しい。
IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。
国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。
外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が37年半ぶりの1ドル=161円台後半まで下落した。
24年春の時点の実質実効為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。
多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。
これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。
にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。
異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。
あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。
本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。
藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長)
「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない
高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長)
「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」
(本書の内容)
2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。
前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。
いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。
日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。
中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。
市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。
財政規律の後退も著しい。
IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。
国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。
外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が37年半ぶりの1ドル=161円台後半まで下落した。
24年春の時点の実質実効為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。
多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。
これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。
にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。
異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。
あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。
本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。
(amazonより抜粋して引用)

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