檸檬 / 梶井基次郎

2023年7月15日土曜日

小説

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ほんの10分ほどで読める短編ですが、日本文学の傑作・名作として多くの作家たちに評価され、梶井基次郎氏が文壇に認められるきっかけになった小説です。

この作品が書かれた1920年代は、芸術界ではダダイズムという思想が世界に波及した時代でした。
ダダイズムとは、既成の秩序や常識に対する否定、攻撃、破壊を大きな特徴とする芸術思想です。

「檸檬」では、肺を病んだ青年が「えたいの知れない不吉な塊」に心を押さえつけられながらも、八百屋で買ったレモンの香りや手触り感に癒され、軽やかな興奮を感じます。
そこで、久しぶりに洋書店に入り、積み上げた絵画本の上にそのレモンを置いて、爆弾をしかけたかのような妄想をしながら逃走する、という物語です。
なんとも短くてあっけないストーリーですが、表現はとても美しいんです。
「その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。事実友達の誰彼に私の熱を見せびらかすために手の握り合いなどをしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。その熱い故だったのだろう、握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。」
と、冷たく新鮮なレモンを握った幸福感の表現は、爽やかで瑞々しいレモンの感触が自分の手にじかに伝わってくるようです。
この作品には様々な解釈があるようですが、積み上げた絵画本は、作者を縛り付けて重荷となっている既に権威付けられた過去の芸術を象徴しており、檸檬を爆弾に見立てるという錯覚(妄想)を使って過去の芸術と決別し、自分独自の新しい芸術を創造する決意と解放感を表している、という説がダダイズムの観点から私には一番しっくりきました
10分で読める名作、おススメです!

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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