花神 / 司馬 遼太郎

2023年6月23日金曜日

小説

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幕末に脅威的な軍才を振るって倒幕の立役者となり、後に日本陸軍の創始者と言われることになる村田蔵六(大村益次郎)の物語です。

「蔵六」とは四肢と頭と尻尾を甲羅に蔵(かく)した状態、つまり亀のことだそうです。
自分の才能を包み隠すようなこの名を作者の司馬氏は「なにやら彼にふさわしい」として、本作では冒頭から最後まで「村田蔵六」で著しています。
蔵六は「火吹き達磨」と仇名された醜い面相、かつ、恐ろしく無愛想で必要なこと以外は一切口をきかない性格だったとか。う~ん、友達にはなれないかも…。
しかし、軍学書の内容を脳裏で克明に映像化できるという異能を持ち、軍司令官として相応しい戦術的天才は蔵六以外にはいなかった、と司馬氏に言わしめるほど、特別な才能を持っていたのですね。
上巻、中巻、下巻の私の個人的なポイント・見所は次の通りです。

【上巻】
周防国吉敷郡鋳銭司(すぜんじ)村字大村(現在の山口県山口市鋳銭司)に村医者の長男として生まれた蔵六は、緒方洪庵の適塾で蘭学を学び、抜群の成績を修めて塾頭に取り立てられます。
ペリー来航後に、伊予宇和島藩からの要請により西洋兵学・蘭学の講義と翻訳を手がけた後、蒸気船の研究と製造を行います。
シーボルトの娘イネとの淡い恋愛関係にはびっくり!
その後幕府に取り立てられ、外交文書翻訳や兵学講義を行います。
このときはまだ長州藩の狂気には距離を置き、ひたすら一技師であろうとする姿勢が印象的です。

【中巻】
幕府に仕える蔵六の学才は江戸で評判となり、やがてその名声を聞いた長州藩からの要請により、蔵六は長州藩士として藩の軍制改革に関わります。
長州では急進派が藩政を握り、それに対して幕府軍は長州征伐に乗り出します。
ここで、桂小五郎(木戸孝允)の推挙により、長州藩の軍務大臣に抜擢されたのが、蔵六でした。
全軍の指揮官となった蔵六が、百姓兵に新式銃を持たせ、当初は圧倒的優位と思われた幕府軍を次々に撃破していく様は圧巻です!
情景や登場人物の思想が細部までイキイキと描かれていて、ワクワクしながら読み進められます。
司馬氏の名人芸とでもいうべきでしょう。

【下巻】
「中国では花咲爺のことを花神という」 なるほど!
革命という花を全日本に普及する仕事を背負った村田蔵六を例えて、このタイトルにしたんですね。
戊辰戦争でも少ない兵力で幕府軍に勝利し、西郷隆盛の反乱に備えて関西に軍事拠点を整備する途中で、蔵六は刺客に襲われます
明治維新という革命を成就させた仕上げ人の一生が幕を閉じます。

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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