世に棲む日日 / 司馬遼太郎

2023年6月18日日曜日

小説

t f B! P L

幕末期、長州藩士の思想家・吉田松陰 と、その門下生で倒幕 の 志士・高杉晋作を描いた、司馬遼太郎の長編小説です。
第1巻~第4巻で私のおススメの名シーンや感想は次の通りです。

【第1巻】
1830年に長州・萩城下の松本村(現在の山口県萩市)で長州藩士の次男として生まれた吉田松陰は、1834年に叔父で山鹿流兵学師範である吉田大助の養子となり、その後、玉木文之進が開いた松下村塾で学びます。
将来は兵学を究めた藩士として長州藩に仕えるため、幼い時から「私」よりも「公」を重んじる厳しい教育を受けます。
22歳の時に松陰は長州藩を脱藩しますが、その理由は天下国家に関わる思想的なものではなく、他藩の友人と約束した東北旅行を実現するため、というのは意外です。
そして、ペリーが浦賀に来航し、幕府は激しく動揺します。

【第2巻】
ペリーが2度目に浦賀に来た際、吉田松陰は闇夜に盗んだ小舟を漕いで黒船に近づき、アメリカに連れて行けと懇願します。
アメリカ側の記録にも残ってるから間違いなく史実なんですね。
鎖国 → 黒船来航 → 佐幕攘夷(幕府を支えて欧米を排斥)論 → 開港(幕府だけ儲かる条約) → 尊皇攘夷(天皇を支えて欧米を排斥)論 → 欧米には武力で勝てないと知る → 幕府を倒し新政府を作って欧米の武器を取り入れて侵略を阻止しよう、という思考の流れが感じとれます。


【第3巻】
安政の大獄により吉田松陰が処刑された後の国内の情勢が、門下生の高杉晋作を中心に描かれます。
尊王論と佐幕論攘夷論と開国論とで、長州藩も日本全体もダイナミックに揺れ動く様子は大迫力です。
晋作は、尊王攘夷を強く訴え、身分に因らない志願兵による「奇兵隊」を編成します。
その後、欧米4カ国連合艦隊が下関の砲台を占拠するに至り、晋作はその和議交渉を任されます。
内憂外患、日本中が大混乱の極致です。


【第4巻】
英国との和議交渉、長州藩内での政治闘争、幕府による長州征討の中で、時に身を隠して時機を待ち、時にわずか80名の奇兵隊を率いて奇襲をしかける高杉晋作。
2度にわたる幕府の長州征討を退けて長州藩を勝利に導いた高杉晋作ですが、28歳で病死します。
激動の時代にこれだけのことを成し遂げた人物が居たということにただただ驚嘆します。
辞世の句は、「おもしろき事もなき世をおもしろく、すみなすものは心なりけり」
28年という短い人生ですが、文字通り大暴れをして新時代を切り開いた高杉晋作らしい句だと感じます。

時は幕末。嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。
その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。
吉川英治文学賞受賞作。
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
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