第三のチンパンジー 完全版(下) / ジャレド・ダイアモンド

2025年10月11日土曜日

ノンフィクション

t f B! P L

下巻では、農業の導入がもたらした栄養失調や格差、文明の崩壊などの影響を分析し、人類の特異な行動の背景に迫ります。

人類は進化の過程で、他の動物には見られない文化や技術を発展させてきましたが、それと同時に環境破壊ジェノサイドといった深刻な問題も生み出しました。
著者は、過去の文明の失敗から学び現代の核兵器や資源枯渇といった危機にどう向き合うべきかを問いかけます。
私の印象に残った、著者の分析と意見の一部をご紹介します。
  • 探検家が、技術的に劣った別の人種に出会ったときにはいつでも、彼らを撃ち殺し、新しい病気を持ってきて彼らを大量に殺し、その生息地を奪い取ってきた。地球外生命体に向けて電波を発信して地球人の存在を知らせようとする天文学者の試みは自殺行為である。
  • ある学者は、コモンチンパンジーの集団の雄たちが次々と隣の集団の個体を殺害しなわばりを強奪する事実を明らかにした。このように、よそ者嫌いに基づく殺人は、動物にもたくさん先例があるものの、唯一人類だけが、遠距離大量殺人兵器の開発によって、種としての没落をもたらし得るところまでそれを発展させた。
  • 地球のこれまでの歴史を見ると、他の惑星に文明があったとしても、その寿命は短いと思われる。知的な文明は、一夜にしてその文明の成果を自ら全部滅ぼしてしまっただろう。
  • 芸術、話し言葉、麻薬等々、人間のあらゆる本性の中でも、動物の先駆者から最も直接的に受け継いでいる本性が、集団殺戮=ジェノサイドである。
  • 人類は約250万年前にアフリカで粗末な石器を使い始めたと考えられている。ボノボやゴリラは道具を使わない。コモンチンパンジーはごく初歩的ないくつかの道具を使うが生活に不可欠といえるものではない。(チンパンジーが集団で戦う時に、木の棒や石を武器として使わないことを少し不思議に感じてしまった。/by Mermaid)
  • 人類の直接の祖先であるクロマニヨン人は、互いに大量に殺しあう性質と、環境を破壊する性質を、体現している。脳を取り出すために割られた頭骨などが出てきており、殺人と食人の証拠が示されている。クロマニヨン人が現れた直後にネアンデルタール人が消え失せたことも、ジェノサイドがうまく行われるようになったことを感じさせる。
  • もし私たちが、この本の中でたどってきた過去から学ぶならば、私たちの将来は、あとの2種のチンパンジーの将来よりは、少しは明るいものになるのではないかと思う。
人類が祖先から受け継いだ性質、現状の危機、将来への希望について興味をお持ちの方におススメします。

なぜ他民族の大量殺戮を企て、実行してしまうのか。
ダイアモンド博士の名著、完全版!
王立協会科学図書賞受賞作

およそ1万年前から発展の速度を上げた人間は、農業を覚え、人口を増やし、文明を栄えさせた。
人間の技術は他の星に信号や人工衛星を送るまでに発展した一方で、一夜にして地球を吹き飛ばす兵器をも開発した。
なぜ人間は他民族の大量殺戮を企て、たびたび実行に移すのか。
なぜ人間は動物以上に環境を破壊してしまうのか。
資源涸渇から滅亡した文明から、何を学ぶべきか。
人類の未来への警鐘と希望を記したダイアモンド博士の記念すべき第一作の完全版。

「私たちの過去の記録と現在の窮地を見て絶望した読者の皆さんが、希望の兆しは見えるのであり、私たちが過去から学ぶ道はあるのだ、というメッセージを見落とさないでいて下さることを願ってやみません」(本書より)
(amazonより抜粋して引用)

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関東在住で、医療関係の事務に携わっています。
家事・育児と、遠隔地で一人暮らしをする80歳代の母の健康状態にも目を配りつつ生活しています。
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